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ボトックスの機序と臨床データ

*当院でのすべての施術は、アメリカ形成外科専門医で、元UCLAチーフレジデントの当院院長が行います。院長の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

ボツリヌス菌毒素はClostridium botulinumという細菌が作る毒素です。この細菌は空気のない環境で育つ細菌で、外毒素といって外に毒素を放出していきます。この細菌の毒素にはA、B、C-alpha、C-beta、D、E、F、Gと、タイプの異なる7種類に分けられます。この毒素は神経細胞内で作用するのですが、おのおのがターゲットとするものが違うので、いくつもの種類に分かれています。A型ボツリヌス菌毒素は神経の末端部分でシグナルを送ることが出来なくする作用があります。まず小さな針でA型ボツリヌス菌毒素を治療部位に注射すると、これが神経内に入っていきます。そして細胞内の特殊なタンパクに作用して、神経伝達物質のアセチルコリンという物質が外に出れないようにしてしまいます。AからGまで異なるタイプがあるのは、それぞれブロックするタンパクの種類が異なるためです。アセチルコリンがないと神経から筋肉へシグナルが伝わらず、結局筋肉が収縮できなくなってしますのです。こうした効果が出るのに24-48時間かかり、その後2~3週間で効果のピークがおとずれ、4ヶ月くらいで徐々にまた効果が薄らいできます(長くて6ヶ月くらい(。

ではこうして筋肉を緩めることが、どうして頭痛の緩和につながるのでしょうか。アメリカのいろいろな臨床報告を見てみると、ボトックスは単に筋肉の収縮をおさえるだけでなく、神経自体にも作用しているという報告が散見されます。例えばボトックスは、筋肉から中枢神経にさかのぼっていくフィードバックのルートを調節し、筋肉の中にある筋紡錘体というものの活動を抑えるという報告があります。また脊髄や末梢神経で、痛みに関係しているグルタミン酸の放出を抑制し、ひいては脳内の痛みに関するニューロンの活動を抑えているという報告もあります。こうした痛みに関するシグナルの抑制が、末梢および中枢でも見られることが、片頭痛やその他の頭痛の症状緩和に関係しているという研究結果が発表されています。

実際の症例としては、ボトックスは筋肉を弛緩させるのに48時間くらいはかかるのですが、頭痛の場合、ボトックス注射直後から頭痛がよくなる患者さんも報告されています。これは一つにはプラシーボ効果(患者さん自身が効くと思い込んでしまっている(か、実際に神経に直接効いているということでしか説明が出来ません。これらの報告以外にもボトックスがどうして頭痛に効くかという説には、例えば、片頭痛には血管の炎症が関係しているとされていますから、炎症に関する神経の反応も抑えているとか、他にもいろいろな説があります。

臨床報告

「ボトックスが頭痛に効くのではないか」という最初の報告は、おそらくUCLAのビンダ-博士らが2000年に発表した論文にみることができます。かれらは美容の目的(顔面のしわ)でボトックス治療を受けていた患者の中に、片頭痛の症状が緩和されるものがいることに気づきました。そしてかれらはいくつかの病院とともに、より多くの患者に対してボトックスと片頭痛の関係を探りました。効果の判定は頭痛の完全消滅、痛みや頻度が50%以上軽減、そして効果なしに分けて行われました。その結果、51%の患者さんで頭痛の完全消滅がみられました。ボトックスの治療間隔は4ヶ月程度でした。残りの患者さんの38%は平均2.7ヶ月間、ある程度の頭痛の軽減が見られました。

この報告に引き続いて、多くのボトックスの頭痛治療に関する臨床報告が発表されてきました。詳しい臨床報告の内容は以下に紹介しますが、50%-80%以上の患者さんが何らかの症状軽減を示したという報告が多いのですが、反対に効果はないという報告もあります。またその後の多くの研究で、片頭痛の予防にもボトックスが効果的だということ、さらには筋緊張性の頭痛や既存の治療が効かない頭痛にもかなり効果のあることがわかってきています。ただしこれらの臨床報告の多くは、Retrospectiveといって、あとからいろいろな臨床結果だけをまとめたものも多く、数も限られていたりして科学的な検証という意味では完璧なものではないかもしれません。

プラシーボを用いた治験

現在数は少ないですが、いくつかのコントロールを用いた治験が行われています。どうしてこうした治験が重要かというと、人間の身体は例えば水(プラシーボ)を入れた注射をして「頭痛の薬の注射をしましたよ」というだけで、何10%かの患者さんは症状が軽くなることがあるのです(プラシーボ効果)。従って医薬品の効能を確かめる際には、2重盲検法といって、プラシーボを用いた患者さんAグループと本物の薬を使ったBグループとの効果を、統計的に分析る必要があるのです。現在、大掛かりな治験は行われているようなのですが、これまでにも小さい規模ではありますが、いくつかのデータが発表されています。たとえばアメリカ・トーマスジェファーソン大学のシルバースタイン博士のグループは、123人の患者にそういう治験を行い(詳しくは次項参照)、統計的に有意な差が得られたと発表しています(2000年)。またバリエントス博士らは、2002年のアメリカ頭痛学会での発表の中で、同様の方法を用いて今度は片頭痛の予防効果を調べた結果、やはり長期の効果を治療グループで認めました。同様の効果はプラシーボグループでは認められなかったそうです。また他の鎮痛剤や頭痛薬の使用も減少したと報告しています。

アメリカ・マウントサイナイ医科大学のブリン博士のグループは、さらに同様の2重盲検方式にランダム化を加えました(2002年)。つまり56人の患者を、ボトックスを前頭部に打つグループ、側頭部に打つグループ、プラシーボを前頭部に打つグループ、同様に側頭部に打つグループにランダムに分け、その効果を検証しました。この結果もやはり有意な治療効果をボトックスグループに認めたのです。アメリカ・ベイラー医科大のオンド博士らは、同様のランダム化した2重盲検方式で、今度は慢性頭痛や慢性の筋緊張性頭痛の患者を調べた結果、長期にわたって治療グループにおいてプラシーボグループとは明らかに差のある治療結果を得ました。

ボトックスと頭痛に関する臨床データのまとめ

UCLAビンダ-博士
患者77人のカルテを調査した結果、51%の患者が頭痛の完治を報告。注射部位は眉間、前頭部、側頭部で、平均注射量は31単位。

NY州立大学マウスコップ博士ら
患者126人のカルテ調査、多くの患者が部分的あるいは完全な治療効果を経験。注射部位は眉間、前頭部、側頭部が多くの患者で、一部は痛みの走行にそった注射を受けた。使用量は25~200単位と幅広い。

デニー博士ら
患者48人のカルテ調査、患者はすべて慢性頭痛の罹患者で、過去に既存の治療に失敗している。86%の患者が何らかの効果を認め、35%はよい結果、27%は非常によい結果を報告。注射部位は眉間、前頭部、側頭部、それに後頭部の頭板版筋(頭の後ろ側から首にかけての筋肉)、あるいは痛みの走行に沿って注射。平均使用量は50~300単位。

ブラメンフェルド博士
患者271人のカルテ調査、慢性頭痛や筋緊張性頭痛などいろいろなタイプを含む、85.6%の患者が効果を認めた。注射部位は上記とほぼ同じ。

ヒューストンのマシュウ博士
患者112人のカルテ調査、すべて慢性片頭痛の患者、繰り返し注射をすると(3回以上)、有意な頭痛の治療効果を認めた。注射部位は上記と同じ、注射量は50~100単位。

ニューヨーク州立大学ドッデイック博士ら
73人の患者に注射を行い結果を比較。61%の患者が頭痛の頻度の減少を認め、27%が頭痛の程度が軽くなったと報告。注射部位は前頭部、側頭部、鼻根筋、僧帽筋(首から肩にかけての筋肉)、後頭部の頭板版筋。注射量は25(一部100単位まで追加)

プラシーボをコントロールに用いた治験

チリのバリエントス博士ら
患者数30人、プラシーボグループと比較して非常に有意な差を認めた。注射部位は眉間、前頭部、側頭部、鼻根筋、僧帽筋、後頭部の頭板版筋。量は50単位。

トーマスジェファーソン大学シルバーステイン博士ら
プラシーボを使った2重盲検法(患者123人)、45%の患者が50%以上の改善を報告。注射部位は眉間、前頭部、側頭部で使用量は25単位か75単位。

マウントサイナイ医大のブリン博士ら
プラシーボを用いた2重盲検法(患者56人)、頭痛の症状改善に統計的有意差を認めた。注射部位は前頭部と側頭部。

ベイラー医大のオンド博士ら
プラシーボを用いた2重盲検法(患者60人:慢性頭痛、筋緊張性頭痛含む)、10%の患者が驚異的な効果を報告、24%が顕著な効果を訴えた。注射部位は各患者によって異なり、痛みの走行に沿って行われた。注射量は200単位。

オハイオの米国片頭痛センターのベーマンド博士ら
「注射部位を1箇所に限り頭痛に与える効果を検証した論文」
この研究では、注射部位を1箇所に限定した場合、片頭痛はどれくらいよくなるかということを調べました。ボトックスが単に筋肉の緊張を緩和して、トリガーポイントと呼ばれる刺激を受けやすい部分の治療に役立つだけでなく、もう一つの説、つまりボトックスを末梢の頭痛に関連している感覚神経どこに打っても効果がでるという説の検証を行いました。注射部位は眉間のしわを作る筋肉のみです。29人の片頭痛の患者に25単位のボトックスを注射。結果は2ヶ月の時点で83%の患者が何らかの効果を認め、半数以上は頭痛がなくなったと報告。この治験は患者数が少ないのが問題ですが、痛みに関係する末梢神経1本にボトックスが作用するだけで、多くの片頭痛が解消される可能性を示したという点では重要な論文です。

以上のような報告とは反対に、ボトックスにはプラシーボ以上の効果は見られないのではないかという報告もあります。 サイエンスの世界では一つの薬に関して、相反する結果が発表されることは決して珍しくはありません。また私たちは、既存の片頭痛の治療を否定するものでもありません。ただ、副作用などで既存の治療が必ずしもベストのオプションでない場合、リスクや限界、そして現在出ている賛否両論の意見を知った上での代替治療としては、その可能性を残しておいてもよいのではないかと考えています。

ボトックスによる片頭痛(偏頭痛)、頭痛、肩こり治療:22,000円~

*当院の医師はアメリカ形成外科専門医であると同時に、アメリカ神経病理学専門医であり、過去にはアメリカの大学病院で脳外科のチーフレジデントも修了しました。頭痛外来はこうしたバックグランドに基づいて併設しております。

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