Archive for the ‘豊胸・バストアップ’ Category

タミータックと複合手技

月曜日, 1月 15th, 2018

タミータックという手術は、産後や肥満からの極端な体重減少に伴ってみられる腹部の皮膚および皮下組織のたるみを修正する手術で、比較的大掛かりな施術なので、病院に入院しておこなう治療となります。

   このタミータックという手術と同時に、腹部の脂肪吸引をしたり、乳房の下垂を修正したりする手術を希望されるかたが時々いらっしゃいます。しかし、当院ではそうした2つ以上の手術を一緒に行うこと(複合手術)は勧めておりません。その理由は、合併症のリスクが高まるからです。

   タミータックと脂肪吸引を同時に行うと、腹壁の組織の壊死が起こりやすいことがアメリカでは多々報告されています。また、タミータックと乳房の手術を一緒に行うと、手術時間も長くなり、深部静脈血栓を起こす率が高くなるのに加え、タミータックの部位にも皮下に水がたまったり(水腫)、傷の治りが悪かったりすることが多くなるといわれています。

  こうしたいくつかの手術をご希望の場合には、安全のために、それぞれの手術から回復する期間を経て、次の手術を考えるように勧めています。

豊胸バッグの抜去手術に関して

月曜日, 10月 30th, 2017

豊胸手術をしてから数年から10年くらいで、かなりの確率で(最大25%)インプラント(日本語で言うプロテーゼは英語ではインプラントという)の周りに厚いカプセルができてしまいます。これを豊胸バッグのカプセル化と言い、アメリカでは3つのグレードで分類しています。グレード1は触るとちょっとシワシワ感があるが、見た目には異常がないもの、グレード2は皮膚表面にシワが浮き出てきているもの、グレード3はそれに加えて痛みを伴うもので、抜去手術が必要になります。
 
豊胸バッグの抜去術ですが、簡単な手術ではありません。バッグを取り出すだけでは不十分な結果を招くことがあります。バッグの表面に密着しているカプセルも同時に除去する必要があります。特に、バッグの前面のカプセルは除去すべきとされています。そうしないと、カプセルが全周にわたって残存し、嚢胞となってしまいます(Seroma: セローマという).
 
カプセルの除去に際しては、かなり出血することもあります。したがって当院では、こういう手術は外来手術で行うことを勧めておりません。当院の医師が主治医となって、大学病院で手術をする方法をお勧めしております。

豊胸術とリンパ腫について(その3):海外ニュース

月曜日, 5月 15th, 2017

これまで、豊胸術や乳がん術後の再建手術で豊胸インプラントというバッグが用いられた際、とくにTextured型という表面がざらざらのタイプのバッグを挿入された患者さんに、特殊なリンパ腫がその後発生する可能性が一般人口よりやや多くみられることを述べてきました。
 
この病気に関してアメリカの大手新聞のニューヨークタイムス電子版の本日号で、アメリカでも大きな社会問題になりつつあることが報じられています。詳しくは以下のサイトをご参照ください(英語ですが、グーグル翻訳で読めます)。
 
https://mobile.nytimes.com/2017/05/14/health/breast-implants-cancer.html?smprod=nytcore-iphone&smid=nytcore-iphone-share&_r=0&referer=

豊胸術とリンパ腫について(その2)

月曜日, 5月 1st, 2017

このタイトルのその1でもお知らせしましたが、欧米では豊胸術に用いられるインプラント(バッグ)とT型リンパ腫との関連性が取りざたされています。この現象は、豊胸バッグを10年以上体内に保持していた場合に起こりやすく、とくに表面がざらざらなTexturedタイプという製品で起こるということがわかってきました。このTexturedタイプというのは実は、乳がん後の乳房再建術でも多く使われているタイプの豊胸バッグで、波紋を呼んでいます。
 
   Texturedタイプというものはいわゆるカプセル拘縮という乳房がごわごわと硬くなる現象を起こりにくくする作用が、表面がつるつるのSmoothタイプより少ないと言われていました。しかし、一方で表面のざらざらの中に細菌類が住み着いて、感染されたバイオフィルムという現象を作り出すことも知られていました。
 
   いま大切なことは、こうした豊胸バッグが体内に入っている患者さんは、今一度自分で乳房の触診をし、違和感を感じるなら、専門医に相談の上MRI検査をすることをお勧めします。

脂肪吸引を用いた乳房減少術について

月曜日, 3月 27th, 2017

乳房が大きすぎて肩こりなどの症状がある場合、一般的には乳房減少術という方法で乳房組織を切り取って小さくし、皮膚をまた縫合する方法がとられています。
 
しかしこの方法では将来、授乳をする予定がある患者さんには問題があります。そうした場合に考えられる別の方法として、乳房の脂肪吸引をまず行って減量し、次に乳房の皮膚だけを縫い縮める方法を行うことがあります。この方法では将来の授乳が可能です。

豊胸術とリンパ腫に関して

木曜日, 3月 16th, 2017

欧米では過去に豊胸術を受けた患者さんの一部に、乳房にリンパ腫を発症する者がおり、現在そうした症例をモニターしています。
 
詳しくはALCL (Anaplastic Large Cell Lymphoma)といい、T細胞のリンパ腫です。全身に起こる同種のリンパ腫と異なり、豊胸に伴うものは乳房に限局性で、予後はよいといわれています。豊胸バッグを用いた症例においてのみ見られる現象で、とくにTextured型という表面がザラザラのタイプの豊胸バッグにより多くみられます。
 
米国FDAは形成外科医に患者へこうした情報をインフォームするように指示しています。フランスではより深刻に、そうした豊胸バッグを使用禁止にするかどうかの議論がなされています。しかし、頻度的に非常にまれな現象ですので、日本では議論もされていないようです。

豊胸バッグとMRI検査

月曜日, 2月 27th, 2017

豊胸手術をうけてしばらくは調子がよいけど、一部に硬くなったり、スジのような変化を感じるとき、あるいは全身症状がすぐれないとか、豊胸バッグが問題ないかとにかく調べてみたいという場合、一番良いテストはMRI検査となります。
 
  費用は少々かかりますが、バッグの破損、リーク(漏れ)、カプセル拘縮の程度、周辺の異常(乳がん、リンパ腫など)も検知することが可能です。ただし、身体のどこかに金属の入っている人はできないことがありますので事前のチェックが必要です。入れ墨(タトゥー)の入っている場合もできないことがあります。
 
  アメリカFDAは豊胸手術をした人は3年おきにMRI検査をすることを推奨していますが、現実にはそんなに頻繁にしている方はいないようです。

豊胸術後のトラブルについて

金曜日, 2月 10th, 2017

豊胸手術は非常に魅力的なボディラインを作ってくれる素晴らしい手術です。しかし、この手術を受けたのち、何年にもわたって注意しなければならないことがあります。ひとつはカプセル化あるいはカプセル拘縮という状態で、10-15%の割合でおこる豊胸インプラントが固くなる状態です。状態がひどくなると皮膚の上から触るとわかるスジとなったり、見ただけでもわかることがあります。こうした状態が起こると、インプラント(豊胸バッグ)を抜いて、出来上がったカプセルの膜も除去する必要があります。
 
  初めて豊胸手術をした時よりも、より大掛かりな手術となります。一般には病院などに入院して行う治療となります。一方で、豊胸バッグにこびりついたカプセルを除去しないで、バッグの抜去だけで済ませるとなると、簡単な手術ですみますが、カプセルに水がたまったり(水腫という)というまた別の合併症も起こりかねません。
 
  これ以外にも、バッグの破損(破裂)が1個あたり年間1%くらいの確率で起こるとされています。これを察知するのは触診だけでは困難なので、MRIなどの画像診断が必要になってきます。
  
  その他の合併症をいろいろ加えると、豊胸手術をした患者さんの25%くらいが将来、再手術を受ける必要があるといわれています。

豊胸インプラントとリンパ腫の関連に関して:

金曜日, 2月 3rd, 2017

フランス政府は最近、豊胸に使われるインプラントと乳房にできる特殊なリンパ腫(未分化大細胞型リンパ腫、英語でAnaplastic large cell lymphoma(略してALCL)という)に関連性があるとして警告を発するようになりました。
 
現状では非常に稀な腫瘍で、また予後も身体全体におこるリンパ腫よりもよいので、豊胸手術をしたことある患者さんに、すぐに抜去を勧めるものではありません。ALCLは非ホジキンリンパ腫と呼ばれるT細胞型の腫瘍で、乳房に限局性のものは全世界で60例ほど報告がありますが、豊胸手術を受けている患者さんは数千万人以上いるとされていますので、極めてまれなものです。
 
ただ、欧米は情報公開を早めに行うというシステムがあり、FDAもこの件に関してはモニターを続けているということです。