Archive for the ‘脂肪吸引・脂肪注入’ Category

タミータックと複合手技

月曜日, 1月 15th, 2018

タミータックという手術は、産後や肥満からの極端な体重減少に伴ってみられる腹部の皮膚および皮下組織のたるみを修正する手術で、比較的大掛かりな施術なので、病院に入院しておこなう治療となります。

   このタミータックという手術と同時に、腹部の脂肪吸引をしたり、乳房の下垂を修正したりする手術を希望されるかたが時々いらっしゃいます。しかし、当院ではそうした2つ以上の手術を一緒に行うこと(複合手術)は勧めておりません。その理由は、合併症のリスクが高まるからです。

   タミータックと脂肪吸引を同時に行うと、腹壁の組織の壊死が起こりやすいことがアメリカでは多々報告されています。また、タミータックと乳房の手術を一緒に行うと、手術時間も長くなり、深部静脈血栓を起こす率が高くなるのに加え、タミータックの部位にも皮下に水がたまったり(水腫)、傷の治りが悪かったりすることが多くなるといわれています。

  こうしたいくつかの手術をご希望の場合には、安全のために、それぞれの手術から回復する期間を経て、次の手術を考えるように勧めています。

腹部の脂肪吸引について

土曜日, 1月 6th, 2018

当院の院長は長年にわたって、アメリカそして日本で多くの患者さんの脂肪吸引を行ってきました。脂肪吸引はアメリカではすでに効果的で、確立した美容医療技術ではありますが、皮膚表面の凸凹といった程度の軽い合併症から、脂肪塞栓、腹部穿孔や死亡といった重篤な合併症まで報告があります。当院では、そうした重篤な合併症の経験はございませんが、残念ながらごく最近も日本でそうした事案がありました。
 
私どもは長年にわたってどうしたら安全で効果的な脂肪吸引が行えるかということを、学会での招待講演や論文で繰り返し説明してきましたが、残念ながら、どの学会にも属していない、自称「美容外科医」がまだ多く存在する日本では、場合によっては危険極まりない施術となりかねないともいえます。
 
まず脂肪吸引にあたっては、綿密なカウンセリングが不可欠です。飲んでいるサプリや内服薬によっては出血しやすい場合があり、「休薬」してからでないと、安全な脂肪吸引ができないこともあります。また、術前の検査の中で、特に腹部の脂肪吸引の場合、臍のヘルニアがないか、過去の腹部手術の瘢痕がないかを見極める必要があります。小さな臍ヘルニアは専門医でも見つけることが困難なことがあります。当院ではより安全性を高めるために、臍周囲からは穴をあけないようにしています。
 
次に施術の際に、技術的な問題ですが、右利きの医師の場合、左手の使い方が重要になってきます。カニューレという脂肪吸引の器具の先端がどこに向かっているのか、左手で確認しながら、施術を行う必要があります。
 
最後に、吸引に使った穴はすべて閉じ、圧迫固定します。また、術後は日帰り手術の場合、必ず付き添いに翌日まで様子を見てもらうことにしています。それが不可能な方の場合、大学病院で入院して行うことになります。
 
以上のようなガイドラインを守れば、脂肪吸引はお腹の施術であっても、安全で効果的なものとなります。費用もレーザーや超音波を用いた痩身術と比べても決して高くないと思います。

脂肪吸引に関して

月曜日, 8月 21st, 2017

日本では、痩身術といっても脂肪吸引を希望する患者さんは少なくて、できればレーザーか注射などで部分痩身することに関心があるようです。また、多くの脂肪が付いていて、非侵襲的な方法ではなかなか治療できないケースでも超音波や体内式レーザーを用いた脂肪吸引がより良いとの印象を与えているかもしれません。
 
美容医療大国のアメリカでは、今でも昔ながらの手を用いた脂肪吸引が数多く行われていて(年間25万件以上)、レーザーや超音波を併用する方法はあまり行われていません。これには理由があって、まえにも書いたかもしれませんが、そうした方法では機器の先端部分の熱による、熱傷(やけど)が多々報告されていて、特に脂肪のあまり多くない患者さんには用いないようになってきているのです。日本人患者さんもアメリカのスタンダードで考えると、大量の脂肪がついている人はあまりいませんので、こうした機器は使用しない方がよいというのが、当院のアメリカ専門医の考えです。

臀部の脂肪注入に関して

土曜日, 7月 22nd, 2017

最近のアメリカ美容外科学会雑誌によると、臀部への脂肪注入による合併症は他の手技より多く見られ、重篤なものものが多い。たとえば脂肪塞栓や死に至る合併症が各地で報告されているのと事。
 
こうしたことは、以前から何度か提言されていたことであるが、かなりはっきりした数値として発表されているのが今回の報告です。
 
当院では、以上のような理由により、臀部への脂肪注入は特殊なケースを除いては行っておりません。

脂肪吸引 (その3): 男女の違い~腹部

月曜日, 4月 24th, 2017

おなか(腹部)の脂肪吸引に関して、男女で分けて考える必要があります。一般に女性の腹部脂肪は腹壁の外側(おなかの皮下)に蓄積していることが多く、脂肪吸引に向いています。
 
一方で、男性のおなかはメタボ腹という表現で代表されるように、(おなかの皮下には少なく)腹壁の内側、すなわち腸と臓器の間に多くは蓄積(内臓脂肪)していますので、脂肪吸引でとれる部分は少ないのです。
 
  よく脂肪吸引を減量手術だと誤解している男性がいます。男性の場合、脂肪吸引よりも食生活の改善、運動、ストレスの転換、そしてときにはダイエット薬の方が効果的な場合があります。

脂肪吸引 (その2): BMIに関して

月曜日, 4月 3rd, 2017

脂肪吸引は肥満解消のための手技ではなく、局所的に蓄積した脂肪(下腹部など)を効果的に除去する施術です。このことに関しては一般の方々のみならず、専門外の医師でも勘違いしている人が多いです。
 
  アメリカ形成外科学会ではBMIという肥満指数が30以上の人へは脂肪吸引を推奨していません。そういう方はまずダイエット療法で体重を落とす必要があります。BMIが30以上の患者さんへの脂肪吸引では合併症のリスク(深部静脈血栓や麻酔の副作用)も高くなりますので慎重な対応が求められます。

脂肪吸引を用いた乳房減少術について

月曜日, 3月 27th, 2017

乳房が大きすぎて肩こりなどの症状がある場合、一般的には乳房減少術という方法で乳房組織を切り取って小さくし、皮膚をまた縫合する方法がとられています。
 
しかしこの方法では将来、授乳をする予定がある患者さんには問題があります。そうした場合に考えられる別の方法として、乳房の脂肪吸引をまず行って減量し、次に乳房の皮膚だけを縫い縮める方法を行うことがあります。この方法では将来の授乳が可能です。

脂肪吸引について(その1)

木曜日, 3月 9th, 2017

脂肪吸引に関して、当院では多国籍の多くの患者様から様々な質問をいただいております。
 
  今回はその中で、いわゆる「最新型」とされる各種の付随機器を用いた痩身術について考えてみます。脂肪吸引には、アメリカで長年広く使われ、安全性が確立しているチューメッセント溶液を用いた通常のカニューレによるウエット方式が有名です。この方式では局所麻酔薬や出血しにくくなる薬剤を高度に希釈して、これをターゲット領域に組織を膨張させるように注入したのち、吸引する方法です。この方法では、出血量が吸引量の1%以下であることが知られています(非常にすくない)。また、医師の技量にもよりますが、使用する機器そのものによる組織の損傷は少なく、安全な方法だと言われています。当院では、この方法をさらに進化させた、マイクロカニューレ方式を用いて、凹凸の少ない、効果的な結果を得ています。
 
  さて、近年、以上の方法に代わって、超音波やレーザーを脂肪吸引器の先端部分に発生させるような装置が出てきています。日本人は新しいテクノロジーに敏感ですので、こうした機器を用いた治療も日本ではよく行われているようです。ではアメリカではどうでしょうか?アメリカではそうした機器は一時的に関心を集めましたが、いまではあまり頻繁に使われていないというか、だんだん使われなくなってきています。なぜでしょうか?最大の問題点は、合併症の重篤さにあります。こうした脂肪吸引プラスアルファの機器の多くは、先端部分に高エネルギーを発するものが多く、結果、皮下組織の熱傷(やけど)、神経の損傷、治癒課程の遅延による水腫(水がたまる)などが報告されています。
 
  こうしたことからアメリカなどではまた、従来型のレーザーや超音波を用いないチューメッセント方式による脂肪吸引にもどってきたというのが実情です。ちなみに、日本ではいろいろな事故なども報告されて「怖い」、「危ない」と敬遠されがちな脂肪吸引ですが、アメリカでは年間25万人以上が受けている、最も人気のある美容医療施術の一つです。